Magic Rose-紅い薔薇の少女-
ランティスはまるで何か焦っているような、そしてそれを何か恐れているような、
そんな聞き方だった。
その様子に戸惑いながらもローズは、本能的に何かを察した。
これは誤魔化さなくちゃいけないと。
本当のことは言ってはいけないと。
「今、さっき?」
「何故三日月を待っているの?」
「えっと……つ、つきか草が早く見たくて……」
月華草、三日月になり、月光が弱くなると咲く、綺麗な可愛らしい花。
ローズはこの花が大好きだった。
「そう」
ランティスはそれだけ言って、カップを回収し、出ていってしまった。
お母さま……さいきん、ようすがおかしいみたいだけど、だいじょうぶなのかな?
開けっ放しの窓からフワリと風が入ってきた。
「風むきがかわった……」