Magic Rose-紅い薔薇の少女-


「残念ながら杏子です」

「離せ!この無礼者が!!」

「響堵様、貴方って人は……」

杏子さんが呆れていると廊下を駆けてくる足音が聞こえ始めた。

それはだんだん近づいて、部屋の前に来た。

「響堵兄ちゃん!!」

その怒声と共に千里が飛び込んできた。

「げ。千里じゃねーか」

「千里じゃねーかじゃないです!全くもう!!」

響堵さんは千里により強制送還された。

「杏子さん」

「番、人様……?いつお目覚めに?」

「千里の足音がしたくらいから、ですかね」

「もう、あの子は騒々しいんだから……」

本当に、千里達は仲が良いのね。

「杏子さん……私は此処にいてもいいのでしょうか?迷惑にならないのですか?」

「番人様、そんな事っ……」

「不安なんです、ずっと」

消しきれない、この不安。
どう足掻いても、私にまとわりついて離れない。

「私が、こうしている間に世界はどうなってしまうのでしょうか?」

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