Magic Rose-紅い薔薇の少女-
「お召し物の方が繕い終わりましたので」
終わったって、そういう事だったのね。
「ありがとう」
私は懐かしのその服に袖を通す。
ああ、この感覚……やっぱり私はこの服じゃないと!
おば……お母様のくれた、大切な洋服。
「ローズ……っと悪い!!」
ピシャンとシルバーは勢いよく襖を閉めた。
「フフッ、シルバー、着替えは終わったわ。
入っても全然平気、気を使わないで?」
そう声をかけるとシルバーは恐る恐る入ってきた。
その姿が面白くて、ついつい笑ってしまった。
「な!笑うな!!」
「だって、シルバーったら!」
それでもまだクスクス笑う私にムスッとした表情になる。
あら?何だろうか、この感じ。
すごく、ドキドキするの……。
ああ、そういう事なのね?
この気持ちは……
そういう事だったの……。
考えてみれば私ったら、気づくのが遅いわね。