Magic Rose-紅い薔薇の少女-
「確かに寂しいわ、けどね万里。
私達は家族なの。永遠の別れではないのよ?」
「そうよ万里」
杏里さんは笑顔だった。
「これは一時的なものよ。一瞬の別れ」
今度は雷さんが口を開いた。
「それに、これはチャンスだ」
「チャンス?」
「“不幸をよぶ黒狐”がこの世界を救ったとなればいいじゃないか。汚名返上だ」
「そう、だね……。千里姉様、いってらっしゃい!」
今度は、笑顔だった。
本当は皆怖い筈。
怖いよ、行かないで、離れたくないって
叫びたい筈。
怯えてるんだ。
だから……
「大丈夫、大丈夫だから」
私が……
「皆が想像してるような事にはならない!なる筈がない!
だから、安心して頂戴?」
皆の為にも……頑張らなくては!
「千里」
「兄、ちゃん?」
「また、途中で会おうよな」
「はいっ!!」
そうして私達は新たな旅への一歩を踏み出した。