Magic Rose-紅い薔薇の少女-
私は、真っ暗闇の中を歩いていた。
あれだけしっかりと捕まれていた手も、離れてひとりぼっち。
出口がわからない。
いや、それ以前に右も左も、前もうしろもわからない。
そう、何にもわからない……。
私はしばらくウロウロしていた。
ん?気配……。
何かの気配に気づいたときには
時すでに遅し。
「あっ」
手が、延びてきた。
ただの手。
手、手、手、手…………
子供の手、女の人の手、男の人の手、血まみれの手……
たくさんの、色々な手が、私に襲いかかってくる。
恐怖。
「いやあぁぁぁぁ!!」
どうすることもできなかった。
何故だか、魔法が、使えない。
怖さあまり?それともこの空間では使えないの?
どちらにせよ、今の私は……。
刹那、私に襲いかかってきていた手が消えて行く。
そして、フワリと羽が、光が、私のもとへ、舞い降りてきた。