Magic Rose-紅い薔薇の少女-


私は、真っ暗闇の中を歩いていた。

あれだけしっかりと捕まれていた手も、離れてひとりぼっち。


出口がわからない。
いや、それ以前に右も左も、前もうしろもわからない。

そう、何にもわからない……。


私はしばらくウロウロしていた。


ん?気配……。

何かの気配に気づいたときには
時すでに遅し。

「あっ」

手が、延びてきた。


ただの手。
手、手、手、手…………

子供の手、女の人の手、男の人の手、血まみれの手……
たくさんの、色々な手が、私に襲いかかってくる。

恐怖。

「いやあぁぁぁぁ!!」

どうすることもできなかった。
何故だか、魔法が、使えない。

怖さあまり?それともこの空間では使えないの?
どちらにせよ、今の私は……。


刹那、私に襲いかかってきていた手が消えて行く。

そして、フワリと羽が、光が、私のもとへ、舞い降りてきた。


< 189 / 258 >

この作品をシェア

pagetop