Magic Rose-紅い薔薇の少女-


ねぇ、サラ……
君は…………

また何処か私の見えない所で泣いているのですか?

君は、何を想い

何を見ていますか?


「水仙」

「エルザさん、ご無沙汰しております」

エルザさんは泉の水を飲んだ。

「やはり水の管理がいいな」

「用件は、なんですか?」

「…………。」

エルザさんが何もなしにこうしてここに足を運ぶことなんてない。

「カルタスの城へ向かった」

カルタスの……?

「何で、何で行かせたのですか!!」

はぁはぁ、とたったこれだけ事で息切れする。

格好悪いですね。

「今行かなければ手遅れになる。
それでも構わないのか?」

構わないわけじゃない。

ただ失いたくないんですよ。
また、大切な人を。
また、ヘルシオンの人間を。

会えなくなるは、もう嫌なんですから。

ローズ、君は……本当に、強い女性(ひと)ですね。

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