Magic Rose-紅い薔薇の少女-
時が動いたのは翌日の晩のことだった。
屋敷のテラスに出ていた齢12程の少女が夜空を見上げていた。
「月が欠けましたわ」
そう呟き、彼女は室内に戻りった。
そして愛しの兄の元へ急いだ。
ソファに腰かける兄に報告をする。
「お兄様!月が欠けましたわ!」
「そうか、ありがとうな……。」
兄は妹に優しく微笑んだ。
妹は照れたように笑いそのまま兄の隣に腰かけた。
彼は14歳程の少年だったが、
どこか大人びていて少し不自然だった。
「お兄様」
「皆のもの!すぐに向かうんだ!モタモタするな!首を跳ねるぞ!!」
兵士たちを急かし、自分も準備を始めた。
自分は兵士たちと一緒に行くつもりだからだ。
「お兄様、頑張って下さいね」
「嗚呼、無論そのつもりだ」