Magic Rose-紅い薔薇の少女-
徐々に頭上に灰色のどんよりとした雲が現れる。
サアァァと、いや、ザアァァと雨が降り始め、ローズの身体を濡らして行く。
「貴様……!」
嫌な予感がした。
このまま身体が濡れ、雷でも落とされたら……。
そう考えるとゾッとした。
だってこれはローズの身体なのだから。
「許せん!」
取りあえず一時凌ぎで魔法で身体を雨から守る。
「ヘルシオンの魔力はどこにも属さないと言うのは本当なんだな」
「そうだとも!均等に、しかし強力なのだよ!神に勝る程にな!!」
「いい気になるのは今のうち!」
ゴロゴロゴロと、不吉な音が鳴り始めた。
「お前が空なら私は……!」
地だ!!
地を揺らし、木々たちは枝を振り回し、花は踊る。
花粉が飛び、蜜も飛ぶ。
蜂は毒針、蝶は毒性のリンプンを撒き散らす。
しかしそれらはズドーンッと云う凄まじい音により全て消え去った。
「くそっ……!」