Magic Rose-紅い薔薇の少女-


ローズは眠っていた。
何も知らずに……。

しかし外からの突然の音に目を覚ました。

「何の音?」

ふと窓を見上げれば月が欠けていた。

「たいへん!」

少し遠くを見渡した。
何か大群のようなモノがこちらに向かってきている。

「あれは何?」

よく見てみるとそれは……


人だ!


ローズはその人の多さに少しの間固まった。

『己を守るのならアイラビアの外れの西の森の奥へ
大切な者を守るのなら
東に位置するベリアザ国、首都アイラビアへ
己の運命を変えるであろう』


わたしは、何を守りたいの?
お母さま?それとも、わたしじしん?


「お母さまはわたしを売った……それならば!」

窓の縁に足をかけ、勢いのままにローズは飛び降りた。

いや……落ちた。


< 23 / 258 >

この作品をシェア

pagetop