Magic Rose-紅い薔薇の少女-
ローズは眠っていた。
何も知らずに……。
しかし外からの突然の音に目を覚ました。
「何の音?」
ふと窓を見上げれば月が欠けていた。
「たいへん!」
少し遠くを見渡した。
何か大群のようなモノがこちらに向かってきている。
「あれは何?」
よく見てみるとそれは……
人だ!
ローズはその人の多さに少しの間固まった。
『己を守るのならアイラビアの外れの西の森の奥へ
大切な者を守るのなら
東に位置するベリアザ国、首都アイラビアへ
己の運命を変えるであろう』
わたしは、何を守りたいの?
お母さま?それとも、わたしじしん?
「お母さまはわたしを売った……それならば!」
窓の縁に足をかけ、勢いのままにローズは飛び降りた。
いや……落ちた。