Magic Rose-紅い薔薇の少女-


悲しい、そんな感情で溢れた記憶。

自然と私の目から涙がこぼれ落ちた。

「はぁ、はぁ……くそっこれは……」

優しいフィレンツェ、暖かい想い。
なのにとても悲しくて……辛くて……憎いの。

「時間、操作……」

時間操作の魔法……。

「俺の、記憶を巻き戻し、更正させようとでも言うのか……?」

「え……?」

「俺は汚れた人間だ!!だからなんだ!?
綺麗な綺麗なヘルシオン?」

「違うっ」

「何が違うって言うんだ!
お前だってあれほど俺達を敵と言っていたじゃないのか!!」


違うの、違う。

ヘルシオンは綺麗なんかじゃないの。

「ずるいのよ、ヘルシオンは……」

きっと正義という名の偽善で……
いいとこばっかりもっていって……

そう、アンナだってそうだったじゃないの。

「計算高くて、偽善者なのよ!
カルタスの方がよっぽど綺麗だわ!!」

「可笑しな奴だな」

可笑しな奴でも構わない。

私がこのヘルシオンを、変えていかなくちゃいけないの。
悪いところも知らずにヘルシオンの名を名乗れないわ。

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