Magic Rose-紅い薔薇の少女-
「だって、貴方は優しい人……」
「な!?くそっ……何を!」
平和的解決。
これもまた、きっと偽善なの。
スルスルと地面を蔦が這ってこちらに向かってくる。
「そうでしょ、“フィル”……?」
その言葉と共に私の首を締め付けた。
「油断してると、死ぬぞ?
しかし、まぁお前がその名前に気づくとはな」
小さな男の子フィル。
それはフィレンツェ、貴方のことだったのね。
「うっ……」
痛い、息が出来ない。
私は涙目になりながらもフィレンツェに訴えた。
「サ、ラ……だって、望んで……な、い」
やっとのことで絞り出したその言葉は効果が抜群だったようで
蔦が揺るんだ。
今ね!!
ブチッと蔦を切り、一直線にフィレンツェの元へ。
「な、何事だ!?」
私はフィレンツェにサラから頼まれたモノを渡した。
「こ、れは……俺が昔サラに預かっててと渡したネックレス……」
そして私はフィレンツェの耳元で囁いた。
――目を醒まして、フィル
と。
「お姉様から……そしてさようなら」
赤く染まる。
突き抜ける感覚、気持ち悪い。