Magic Rose-紅い薔薇の少女-


ローズは無事に着地した。

一人の魔法使いのお陰で……。

「あ、ありがとう!」

真っ黒なローブを着た男。
男は西の方向を真っ直ぐ指差した。

「行け」

「ありがとう!」

ローズはもう一度お礼を言い、駆け出した。


裸足で森を駆け抜けた。
雨が降ってきて、行く宛も知らないローズを濡らした。
足はドロドロになり、びしょ濡れになる自分自身。

「ほんとうに雨になったね」

雨が降る暗い空を見上げぽつりと呟いた。

「あ……」

ローズが視線を落とした先には、真っ黒な猫がいた。

「ねこさん、まって!」

黒猫を見つけたローズは無我夢中で追いかけた。
ここにいる理由も忘れて。

「ご苦労だったな」

「あ……」

猫は真っ黒なドレスを着た女性に抱かれた。


まさかかいねこだったなんて
それにこの人なんだかこわそう


< 24 / 258 >

この作品をシェア

pagetop