Magic Rose-紅い薔薇の少女-
ローズは無事に着地した。
一人の魔法使いのお陰で……。
「あ、ありがとう!」
真っ黒なローブを着た男。
男は西の方向を真っ直ぐ指差した。
「行け」
「ありがとう!」
ローズはもう一度お礼を言い、駆け出した。
裸足で森を駆け抜けた。
雨が降ってきて、行く宛も知らないローズを濡らした。
足はドロドロになり、びしょ濡れになる自分自身。
「ほんとうに雨になったね」
雨が降る暗い空を見上げぽつりと呟いた。
「あ……」
ローズが視線を落とした先には、真っ黒な猫がいた。
「ねこさん、まって!」
黒猫を見つけたローズは無我夢中で追いかけた。
ここにいる理由も忘れて。
「ご苦労だったな」
「あ……」
猫は真っ黒なドレスを着た女性に抱かれた。
まさかかいねこだったなんて
それにこの人なんだかこわそう