Magic Rose-紅い薔薇の少女-
――大好きよ、ローズ。
お姉様、お姉様、本当に本当にもう会えないのに。
今度こそ本当に。
お姉様、ズルいわ。
本当にずるい。
だって私まだ貴女にお礼言ってないじゃないの!
自分だけ言って消えてしまうなんて……そんなの……。
気づけば風が収まり、そこには私だけが立っていた。
「ローズ!!」
「お母、様……」
「よく頑張ったな……いいから休みな」
「いいえ、まだ私やらなくちゃいけないことが一つ残っているの」
時間の番人だからこそ
私だからこそ出来ることだから私がやらなくちゃいけないの。
「ああ、わかった」
スッと空に手を翳(かざ)す。
そして集中し力を集めた。
それ空に放つ。
「壊れた全てのモノよ!
ありままに、元のように……時間(とき)よ、戻れ」
空に光が放たれた。
木々も、街も、市場も元通りになってゆく。
あ、なんだか、すごく疲れた……わ。
もう、だめ……。
「ローズ!!」
最後にきいたのはお母様の呼ぶ声だった。