Magic Rose-紅い薔薇の少女-
「万里……」
千里はゆっくりと私から離れ万里の元へ近寄った。
「万里、ごめんね。
姉様、弱くて……貴女に怖い思いさせちゃった……」
今度は静かに涙を流した。
千里は、悔やんでる。
大切な人を、妹を守れなかったことを。
私だってお姉様のこと、たくさん後悔したもの。
千里の気持ち、痛いほどわかるの。
「千里」
私は千里の名前を静かに読んだ。
大丈夫よ。とそんな意味も込めて。
それが千里に伝わったかどうかもわからない。
だけど、いいの。それで。
千里は振り返り、悲しそうな笑顔を浮かべた。
「……見ててほしいの」
そう言って私は千里の時と同じように万里の時間も戻した。
「あ……」
千里が声を漏らした。
気づいたのかしら?
時間の番人に仕えし魔物だもの。
この魔法を知っていても可笑しくないものね。
「番人、様……それは……」
私は返事の代わりにニコリと千里に微笑んだ。