Magic Rose-紅い薔薇の少女-
「カルタスだ」
カルタス?何処かで聞いたような……。
でも何処で……?
「カルタス家はこの世で最も極悪な魔法使いの家柄だ。
ヘルシオン家の最大の敵……」
最大の……。
「話題を変えてしまうけれど、私貴方の顔見たこと無いわ」
私がシルバーのフードに手をかけた瞬間、
シルバーは有り得ない速さで私の手を払った。
「え……」
「あ……すまない」
「いえ、いいのよ……」
只、只少し吃驚しただけだから。
「俺は、逃亡者だ」
「そんなの、私と一緒よ!」
彼も逃亡者だったのね。
しかし彼は少し寂しそうにこう続けた。
「俺の家系は元々魔力が弱かった。
その為に、両親は殺され……遂には妹まで……」
心なしかシルバーの声のトーンは何時もより暗かった。