Magic Rose-紅い薔薇の少女-


「両親は俺と妹が出掛けている間に殺された。
妹は、俺の、目の前で……。
俺は逃げ出した。
両親が居なくなってからたった一人の家族だったのに」

そうしてシルバーは天涯孤独になってしまった、と。

私は気づけば生暖かいものが頬を伝っていた。
ああ、私、泣いているのね。

フードの中で何かが光ったような気がした。
そう、まるでシルバーは泣いてるみたいに。
いや、彼は泣いていた。

私は彼を慰める(?)べく顔を包み込もうとした。
大丈夫だよ、と。

「きゃっ!」

然しまた、勢いよく振り払われてしまった。

「す、すまない」

「い、いいのよ。私も悪かったんだし。
お互い様よ、ね?」

そうこうしている内に、雨がポツリポツリと降り出し、徐々にザーッと降ってきた。

< 37 / 258 >

この作品をシェア

pagetop