Magic Rose-紅い薔薇の少女-
男はそれ以上は何も言わず黙ってまた風を身に纏い、消え去った。
今、何が起きたの?
わたし、ゆめでもみたのかなぁ?
呆然と立ち尽くしているとランティスが家から出てきた。
「ローズ、話があるんだけれど……」
「なぁに?」
ランティスはローズの手を引き、家の中へ入った。
「……言いづらいんだけど」
ランティスは若干躊躇しながら口を開いた。
「アイラビアの貴族の方が、ローズの噂を聞いたらしく……人目会いたいって。
年上だけれど、将来は一人息子の嫁にどうかって」
まるで、あの人が言っていたことみたい。
大切な人をまもるなら、
わたしはその人のおよめさんになれってことなのかな?
「ローズが嫌なら、いいのよ?」
悲しそうに言う母に、ローズは拒否することができなかった。
「すこし、かんがえてみる」