Magic Rose-紅い薔薇の少女-
「何の音だい!?」
エルザが焦って駆け上がってきた。
「撃ったのかい?」
「はい。然し、撃ったのはレディですが、彼女は支配されかけています」
壁にもたれ掛かっている彼女の顔をエルザは覗き込んだ。
「そうか。ところでシルバー」
「はい」
「春の日は何時だい?」
「もうじきです。
然しそれくらい把握しといて下さいよ。
仮にもヘルシオンなんですから」
一言二言いちいち多いと、睨んだ。
然し弟子は怯まない。
寧ろ
やれやれ
という感じだ。
「これはまだプロローグにすぎない。始まってはいない
カルタス復活も、下準備だ」
エルザはフフッと笑う。
元が良いので笑うとかなり美人だ。
「レディを守って見せろ、シャルディよ」
「命に変えても」
シャルディはエルザの傍らで静かに誓った。
「来るのだシャルディ」
「はっ」
自慢の黒い尻尾を揺らし、エルザの後を追った。