Magic Rose-紅い薔薇の少女-
「……っ!」
彼女達の様子をずっと見ていたエクセディは悔しそうに指を噛んだ。
「なんですの!?全く……」
エクセディはちらりと後ろを振り向く。
そこにはまだ眠りからは醒めていない
愛する、大好きな大好きな、愛しの兄がいた。
「まぁ、心に隙が出来たお陰で、お兄様を助け出す事は容易かったですわ。
それは、感謝しますわね、ミス レディ・デューク……いいえ…………」
アイラビア一の貴族だけあってこの辺りでは一番大きな屋敷住んでいるカルタス家だが、
この屋敷の唯一の家族は、兄だけだった。
親戚のカルタス家は多いと言えど、純粋なカルタスは彼女達だけだった。
「お兄様、早く目を醒まして下さいね」