Magic Rose-紅い薔薇の少女-
――数日後、カルタス家
「素敵ですわ」
まだ意識の無い兄を豪華な椅子に座らせ、
勝手にエクセディ好みの服に着替えさせていた。
一種の着せ替え人形とも言えよう。
「どんな服を着ていてもやっぱりお兄様は世界一素敵ですわね」
うっとりと、自分の兄を見つめる。
わかってしまったかもしれないが、
エクセディは“超”ブラコンであった。
「それでは失礼しますわね、良い夢を、愛しのお兄様」
カチャリと扉が閉まる音と同時に、兄は目をあけた。
「ったく、エクセディの奴。こんな服を着せやがって……
さっさと起きておくべきだったな」
――春の日か……阻止をせねばならぬな
「エクセディ」
「そのお声は!!」
勢いよく振り返り、目を輝かせる。
効果音を付けるなら、パアァ、だ。
「お兄様ぁ!」
ガバッと抱きつき、衝撃で兄は尻餅をつく。
「相変わらずだな……」
「だって、素敵なんですもの」