Magic Rose-紅い薔薇の少女-
ローズはそれ以上聞くことを止め、フラフラと部屋へ戻っていった。
お母さま、本当にわたしを売ったんですか?
自分のためだけに、わたしをぎせいにするんですか?
わたしには、しんじられない。
ブーツを脱ぎ捨て布団に潜り込み、ただひたすら泣いた。
『己を守るのなら』
その言葉を思いだし、飛び起きた。
わたしじしんを守るならこの森のずっと西の奥へ。
お母さまは、わたしを売った。それはまぎれもないじじつ。
それなら売られる前ににげれば……!
満月の覗く窓から風が入ってきた。
カーテンを揺らして、ローズの長い髪を揺らした。
あの人にあいたい。
もういちどだけ……わたしはあいたい!
ブーツを履き、窓に足をかける。
二階の窓から降りれば怪我をする危険があったのにも関わらず、ローズは飛び降りた。
いつものローズならきっと何かロープを使うとか、絶対に安全な方法を考えるはずだが
今のローズにはそんなこと考える余裕はなかった。