Magic Rose-紅い薔薇の少女-


その時、水から出来たスイの使いの者は何やら呟いたようだが、もう聞いていなかった。

――「トビラ……ヒラク……」

まるですべてを見透かしていたかのように一人、泉でスイは呟いた。

――「そうか、やはり彼女が……。さて、この先どうするのかな?」

と。


「レディ?」

シャルディが呼び掛けてもボーッとしていた。
少し顔を赤らめて。

「レーディー!」

「…………。」

しかし、返事が無いため、あのとき見たスイの使いの者をエルザに報告することにした。


「エルザ様……」

「どうかしたのか?」

「少し、話しても……?」

「ああ」

見たものを全て報告した。

「“スイ”が出てきた、と?」

「はい、確かにアレは水の精霊でした。
ここらでアレを扱えるのは奴しかおりません」

「……アイツとサラは会った事がある」

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