Magic Rose-紅い薔薇の少女-
私は走って向かった。
もう二度と戻れないと思っていたあの家……。
「はぁっはぁ……久しぶりね、この家も」
10年は長かったと、実感させられた。
家に入ると、
埃の被ったテーブルに色褪せたカーテン。
そして……
「お母様!!」
窶れ、すっかり老けてしまったお母様がいた。
大分、弱ってるみたい。
「お母様……」
「ロー、ズ?」
久しぶりの再会に抱き締めあった。
「こんなに大きくなって……」
「お母様、私……」
スッと立ち上がり、扉に向かう。
「お母様の娘でよかったわ、ローズ・フェイバリーであることを誇りに思うわ!」
そして私は急いで元、自分の部屋に向かった。
だから私、お母様が泣いてるのを知らなかった。
――「ローズ、違うのよ、ローズ……」
と。