Magic Rose-紅い薔薇の少女-


「ないわ……」

お父様から貰った大切なモノだったのに……。

こんなことならあの時持っておくべきだったわ……。

「ネックレスならもうないわよ」

「お母……様」

「あの日、持っていかれてしまったわ。
“コレで勘弁してやるよ”って」

「そんな……」

無駄足だった……。
おば様、ごめんなさい……。

「ローズ、私はあの六年間……」

ぎゅうっと抱き締めてきた。
暖かい、でも、震えてる……。

「幸せすぎて怖かった。
知らない方がよかったのよ……
なぜ私はあの日、貴女を……


預かったのか……」


預……?

「ごめんなさいローズ……
貴女は私の実の娘じゃない……」

涙が出てきた。

私に、母はいないの?

< 86 / 258 >

この作品をシェア

pagetop