Magic Rose-紅い薔薇の少女-
女の子がこんな時間にねまきで、外をうろつくなんてはしたないし、
お母さまとの約束をやぶることになるけど……
だけどわたしは…………。
ローズは、西の方向へひたすら走った。
家が見えなくなったころ、
強い風がローズの目の前で巻き起こった。
ローズは今度はもう目を閉じたりはしなかった。
風が大分収まり、人影が見え始めた頃にローズの顔が輝いた。
「また、来てくれたんだね!」
真っ黒な、夜の闇に溶けてしまいそうなくらい、真っ黒なローブを着た男に話しかける。
恐怖心なんかはもうローズの中に存在していなかった。
「あいたかった!」
ローズは男に駆け寄った。
「何故、ここへ来た」
予想外の反応にローズは戸惑った。
まさかこんな風に冷たく返されるなんて
と……。
「わた、わたしはこれからどうしたらいいの?」