☆初恋☆
しばらくして、声が聞こえた。
私の好きな、優しい声…。
でも、今は違う。
声を張り上げて、呼んでいる。
「おい、水原―!!どこだー!!」
私を、呼んでいる。
私は、呼ばれてるんだ。
怖くて、怖くて、1人でいたくなかった。
でも、涼ちゃんが来てくれるから、一生懸命たえてた。
その待っていた人が、待っていた人の声が、聞こえてるんだ。
聞こえてる、聞こえてるよ。
でも…。
声が…出ない…。
出ないよ…。
涼ちゃん、私はここにいるよ?
早く、来て…。
私は恐怖のあまり、立てないでいた。
来てくれるのを、ただ、ただ、待つしか出来ないんだ。
それでも、中原は来てくれるって、信じてるよ…。
涼ちゃんの声が、遠くに聞こえる。
私の所に着く前に、遠くへ行ってしまったみたい。
信じてたのに…な…。
それから私の記憶は、とぎれた。