恋花-Romeoと私の花-

「いいじゃない。楓くん!直輝くんは自分にも鈍感なんだから」

変なことを言うその子さんに、私は首を傾げる。

「ま、しょうがないか。直輝のことだし」

「お前ら・・・・俺に喧嘩売ってんのか?」

今にも、楓に殴りかかりそうな勢いの直輝の顔。
そんな、直輝にニコッと笑って楓は余裕の表情。
それを、下で見つめる私。

・・・・なんか・・・・・ヤバいんじゃない?
この状況は・・・・。
園子さんは、ワクワクして直輝と楓を見てるだけだし・・・。
こっ、ここは私が止めなきゃ!
だよね?

「あっ、あの!」

私の楓の膝の上で叫んだ、精一杯の声にいっせいに注目を集めた。

「喧嘩は・・・ダメ・・・だよ?」


渾身の上目と甘い声を出して楓と直輝を見つめた。
すると、みるみるうちに赤くなる直輝と楓。
もっ、もしかして!!
効いた!?

「ヤバッ・・・・」

直輝が天井を見つめて手で顔を隠した。

「もう!かわいすぎ!もう、これ俺のぉっ!!」

そんな、意味の分からないことを言って私を、ぎゅゅゅぅっと抱きしめる楓。

「あっ!ちょっ!おまっ!!離せよっ」

慌てて楓の腕を掴み、直輝が思いっきり引っ張る。

それとは、裏腹にどんどん楓の腕の力が強くなる。

くっ・・・・苦しい・・・。

「あらあら・・・・花恋も大変ねぇ・・・。こんな、分かりやすい子たちがそばにいて」

呆れ気味の園子さんの声。

分かりやすい?
楓と直輝が?
私・・・全然わかんないよ・・・・?












< 23 / 33 >

この作品をシェア

pagetop