恋花-Romeoと私の花-
バタバタ騒いでいると、グッと私の腕を直輝の首へと回された。

「いいから、黙ってろ。時間ねぇんだよ。お前のその、白くて細い足だと俺らの速さには
付いてこれねぇだろ」


腕を回されてグッと引き寄せられた体は、直輝のゴツゴツとした背中にぴったりと密着し
て、顔も近い。

こんなに近くに男の子の顔があるのは、初めてのこと。私の心臓はバクバクと暴れだす。

私ったら、ドキドキしてる!? そ、それはしょうがないとして・・・・・・・直輝に、ドキド
キしてること、バレちゃうよ!!!


「走るぞ!楓!」

「おうっ!」

その掛け声とともに、直輝は走り出した。

それと同時に、グンッと後ろに引っ張られるような感覚があった。負けじと直輝の首にし
がみつく。

横を見ると直輝の必死な顔があった。

そんな顔に、キュンッとしてしまう。

どうしよう・・・・・・心臓がうるさいよ・・・・・・・。

ぎゅぅっと、私は目を瞑った。目さえ瞑っていれば、この胸のドキドキが止まると思った
から。 でも、全然止まんない。

静まれ・・・・静まれ・・・・・静まれ!!心臓!

ずっと心の中で呟いていると、ゆっくりとスピードがゆるまっていった。

「着いたぞ」

はぁ・・・はぁ・・・・と息を切らせている直輝と楓は随分と走ったようだ。

「あ、ありがとう・・・・ございます」

そうすると、「ふぅっ」と一息ついた楓。

「疲れた・・・けど、大丈夫だよ。これぐらい、へっちゃらじゃないと、ここで生きていけ
ないからね」

「へ?」

この人たち、たまに分からないことを言うな・・・・・・。

「ま、いいから行こうぜ。校長室」

乱れた髪と制服をおなしながら、直輝が校門へと歩き出した。

「ちょっ、ちょっと待ってよ~!直輝ぃ!!」

すかさず、楓が追いかける。

「わ、私も行きます~!!」

そう言って、私も直輝と楓の後を追った。













これが、私たちの一期一会。
これから、私の人生は変わる――――・・・・・。


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