宇宙マン episode:1
マサトが笑うのも、無理はないのかもしれない。

けれど。
でも。
だって。


オレ、音楽は苦手なんだ。



「カズキ、ウッドブロック・・・ぷ、あははのは」

完全にマサトはオレを小馬鹿にしている。
言葉の途中で笑い出すなんて言語道断だし、あははのは、だなんて笑い声、オレはこれまでの人生でお耳にかかったことがないのだ。


「いい加減にしろよー」

オレは抱きつくようにして、マサトにもたれかかる。



「ちょっとカズキ」


凛とした声が、ひんやりした廊下に響く。


「あ、マナ。悪い、リコーダー拾ってくれたのか」



幼なじみでもあり、家が隣同士でもある、マナだった。
3歳ごろからずっとピアノを習ってるという、ちょっとしたお嬢様みたいなものだ。
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