恋愛ゲーム


そして、流れるイントロは彼の選んだ曲。

私の知らないその曲は、
彼のイメージを裏切らない
激しくなく静かでもない、場の空気を壊さない程よいテンポの曲。



私はモニターに流れる歌詞を眺めながらリズムに合わせて体を少し揺らす。


一切笑いなしで、モニターに流れる歌詞を真剣に見つめながら唄い

歌の間奏に、お酒を口に運ぶ彼は少し“カッコいい”



駒にするにはいい感じ!



彼の歌う唄は上手くもなくて
下手でもない。
突っ込みどころがなくて
感想を言うのもちょっぴり微妙。



感想が言いにくいなぁ〜



言葉を探すうちに曲は終わり、

マイクを置いた彼を笑顔で見つめる。



ハァ〜

とりあえずは誉めとかなきゃな。


“上手でした”なんて言うのは
お決まり的でワザとらしいし…


特別に上手くないのは
一番彼が分かってる。



「素敵な歌声でした」

こうなったら、唄ではなく彼自身を誉める。




『素敵』というこの言葉。
何て便利なんでしょう!

これは誉めるのに困った時に使える優れた言葉。



ついでに彼の歌った曲を歌う歌手も誉めておく。
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