使い捨て親友童話

「あ、うん、そうそう。しーちゃん近所で」


ぎこちない会話も新学期特有のことです。

少ない情報を探り合う感じがくすぐったい経験はきっと小学生の中学年くらいからありませんか?

とりあえず必死で共通の話題を提供し、あたしたちはこんなに仲良くなれる要素が多いんだと、両者の売り込みが始まる訳です。


「あはは、あの、よろしく、ね? なんかあれだね、初対面っぽいよね、こーゆーの」

「そうだね! 初対面って感じ! よろしくね」

あなたの不安をも笑顔で返してくれる茂木凜となら、一年間仲良くできそうだとあなたは安心しました。

いいえ、茂木凜と過ごす二年生が楽しみになってきました。

単純ですか? いいえ、素直なのです。


なぜって、おとぎの国では友達が財産です。親友は国宝で友情は世界遺産です。

< 26 / 309 >

この作品をシェア

pagetop