有明先生と瑞穂さん
部活が終わり一人で駅へと向かう。



時刻は8時――
外はもう真っ暗だ。


こんな時間に終わるものだから、予定がない限り深江達は帰りまで待ってはいない。


有馬と口之津が待っていた時はカンベンしてくれと思ったが――


部活内にも同じ駅に向かう部員がいたが、滅多に一緒に帰ることはなく各々で帰宅するのがいつものことだ。


(腹減ったなあ)


いつものように買い食いしたいがそろそろ小遣いがピンチ。


布津はお腹を鳴らしながら駅についた。




「!」



駅の入り口に、見知った人物。



「深江・・・」



隅っこに腰掛けて、一人でぼーっと足元を見つめていた。





「何やってんだよ」


「・・・・・・あれ、布津君。もう部活終わったの?」



深江は驚くことなく顔を上げた。

無表情で何を考えているのかわからない。

いつものようにニコニコ笑っていればそれでも安心したのに。



「もうって、今8時だぞ」

「え!・・・あ、本当だ」

「こんな暗いのに一人でこんなとこ座ってて、変なやつに絡まれたらどうするんだよ」

「アハハ、大丈夫だよぉ。
実際声掛けられなかったし」

「そういう問題じゃねーよ!
瑞穂だって怖い思いしてんだぞ。
相手が口之津だったからまだマシだったけど、世の中悪い奴だっていっぱいいるんだからな」

「・・・・・・ごめん」


布津はため息をついて深江の隣に腰掛けた。
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