有明先生と瑞穂さん
深江の紹介でなんとなく、さっき深江が話しかけたことはこの男と関係があるんじゃないかと気付いた。


深江が布津を見る表情がぎこちない。


(俺にはそんな顔向けんのか)


寂しいのは、『友達』だから?



「結、今から帰るの?俺も連れてって!」

「どうして地元なのに道わかんないのよ~。
それで他所でよく生きていけるわね・・・」

「だってよー・・・。
あっ、それともこの人と予定あった?!」


『亮』はハッとして俺を見る。

すごくイイ奴そうだ。


深江が言ったように、二人の息はぴったりで本当に瑞穂と俺みたいだ――・・・


布津は慌てて頭を振る。

「や、予定はないよ。俺もう電車来るし。
話はまた今度でいいから。
じゃーな深江!
一人でぼーっとしてんなよ!」


「えっ!う、うん・・・」


深江の意見も聞かずに駅に入る。

深江が何か言いたそうな顔をしていたが見ないふりをした。




少しだけ深江に腹を立ててる自分がいる。



思わせぶりな態度を取って、散々振り回したくせに――


そういうことを考えている。




どうしようもなくなって携帯を開いて電話をかけた。



プルル・・・
プルル・・・
プルル・・・


『布津?どうしたの?』


「あ、瑞穂ぉ?今時間ある?」


『いいよー。何かあった?』



その声にほっとする。


すがってはいけないと決めていたのに。
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