有明先生と瑞穂さん
「当たり前だろ」

「ずっと後悔してた・・・。
断らなければよかったって」

「・・・・・・」


「無視しちゃってごめんね。
さよなら言えなくてごめん」


「いいよ」


亮の手はずっと頭を優しく撫で続ける。



「亮は昔も今も、ずっとずっと大切な友達だよ」


「うん、俺も同じだよ」




隣のぬくもりに、懐かしい匂いに心が落ち着く。


布津の顔が一瞬だけ頭によぎった。



(結は・・・結は・・・布津君を・・・・・・)



亮と重ねていた。

布津は亮ではないのに、同じような仲になれると思っていた。

やりなおしたかったんだ、亮との関係を。



でも今はこうして亮と再び話すことができた。




(じゃあ、布津君は・・・・・・・・・)



罪悪感がないわけではない。
振り回している自覚がないわけではない。




「どうした?また暗い顔して」

「ううん、なんでもない」





重ねていた二人はこうしてみると全然違った。

当たり前だ。

重ねていたのは布津の外見でも性格でもなくて、瑞穂との関係だったのだから。






***





「オス、瑞穂。こんな時間に呼び出してごめんな。
家の人に何も言われなかった?」

「大丈夫だよー。場所伝えてるし」


布津は瑞穂のマンションの駐車場に瑞穂を呼び出した。

駐車場には有明の車が目に入る。


「有明も何も言わなかった?」

「あ、別に伝えてない」

「浮気だ浮気だ~」

「えええ・・・アンタがそれ言う?」
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