有明先生と瑞穂さん
瑞穂は話し出す。

深江と二人っきりの時に聞いた中学の頃の話。

その時の深江の寂しそうな姿。

それからは『人との別れ』に極端に怯える深江のこと。

布津と瑞穂に自分を重ねていたこと。




布津と一緒にいた理由は、ひとつは布津を心配して


でも本当の理由は


――きっと、もう一度幼馴染との関係を布津とやり直したかったのだろうと。




瑞穂の『嫌いにならないであげて』。

深江の『自分勝手な理由』


全てこれだったのだ。




「はは・・・本当に俺のうぬぼれだったんだな」


自嘲気味に笑うが、それすらみっともないようで恥ずかしい。


「私、結ちゃんの気持ちわかるんだ。
自分勝手だと思うよ。
布津を利用したみたいでさ・・・。
きっと結ちゃんも苦しんでたと思うよ」


その言葉に、深江が何度もこのことを話そうとしていたことを思い出す。




あの下手くそな作り笑い。

それは全部布津に対する後ろめたさがあるからだ――




虚無感が布津を襲い、体に力が入らない。
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