有明先生と瑞穂さん
二時間程たっただろうか・・・。

うって変わって現在、部屋は大人しくなった。

それというのも布津が現在進行形で未だに犠牲になっているからだ。

布津の左肩には国見。
膝の上には加津佐。

・・・が、寝息を立ててグッスリ眠っている。



「ペース早ぇよ・・・」

ボソリと布津は呟いた。



「二人共、今日は仕事が大分キツかったみたいだからね」


言いながら有明がまだ手のつけられていない缶チューハイをカシュッと音を立てて開けた。


「布津がいたからはしゃぎすぎたんだろうねー」

瑞穂もケラケラと笑う。


「お前らに俺の気持ちがわかるか・・・。
左は天国、膝は地獄だぞ。
なんで俺が男を膝枕しなきゃなんねーんだよ。
瑞穂、加津佐さんとちょっと変われ」

「やだよ、セクハラ」


少し動けば膝の加津佐が「ん~~」と唸りながら膝に頭を擦りつけた。


「うわわわわホント気持ちわりぃ~~!!」

「なんかヤらしいんですけど」

「やめろよそういうの、ほんとやめろよ・・・」


今は和やかな空気が流れている。


布津は盛大にため息をついた。


「・・・先生、何で俺を部屋に上げたんだよ。普通イヤだろ」

「イヤだけど追い返すわけにもいかないでしょう」

「そういう問題か?」

「布津君を追い返すならその二人も一緒に追い返してるよ」

「や・・・そういう意味じゃなくてさ・・・」


布津は頬を掻きながらゴニョゴニョと言いづらそうに口元を動かした。
その様子を有明が首をかしげて見つめる。



「だ、だって俺・・・みず、瑞穂・・・」

「ああ」


瑞穂もようやく気づいたらしく、ハッとした表情をして今更気まずそうにうろたえだした。
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