有明先生と瑞穂さん
「自分がされて嫌なことはしない。
相手が嫌だと思うことはやらない。
むしろコレって大人になるにつれて出来ない人が多いもんよね」


「お前嫌がる布津君をここまで連れてきたよな」

「うっ」


踏ん反りがえって得意げに言う国見に静かに有明が指摘した。



「よっ、要するにィ~~、そこまで有明に気遣わずにさ、一緒にいたければいればいいってことよ!」

「・・・・・・」

「おい国見、それはそれでちょっと」




――一緒にいたければいればいい。


ワイワイと話す3人をよそに布津は別のことを考えていた。



「有明と加津佐が一緒にいるのと変わんないわよ」

「一緒にするなよ」


言いたいことを言ってスッキリした国見は大きく背伸びをして全身の力を抜いた。


「眠い・・・。もう一眠りするか。
加津佐ちょっとつめて」


今度は加津佐の頭を布津の体の方に押して布津の膝に頭を預ける。


「ちょちょちょ・・・!二人とか無理・・・」

「う~~~ん・・・」


無理に動かされた加津佐がまたぐりぐりと頭を動かした。


「ぎえっ!!加津佐さん俺の股間で動くな・・・うわぁキメェーー!!ぞわぞわする・・・!」


「ウワー・・・キモい光景・・・」

「・・・・・・」



その時瑞穂の携帯が着信を鳴らした。


「あ、お母さん?
あーごめん、話しこんじゃって。
うん・・・うん・・・。
今から帰るからー」

「え」


「ということでもう帰りますね、先生」

「うん、また明日学校で」

「ちょぉおおー?!俺も連れてって!!つかこの二人どけてぇええ!!!」

「えー、起こすの悪いし・・・」

「悪くない!悪くない!」

「俺風呂に入ろうかなー」

「先生お願いしますぅーーー!!」




その日は最後まで布津の声だけが響いていた。
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