有明先生と瑞穂さん
次の日――



深江は、朝からやけにやつれている布津を心配そうに見て心を痛めた。

しかし何と言って話し出せばいいのかわからない。

昨日は喧嘩別れをしたわけではないのだから、普通に接すればいいのだが――・・・


自分の机で悶々としていると布津の方から深江の元へと寄ってきた。


「布津君・・・」


目の下にはクマ。眠れなかったのだろうか・・・。


「後で話をしよう。
勝手なことして悪いけど、瑞穂から深江のこと聞いたんだ」

「・・・・・・」


深江は黙って頷いた。






「ごめんね結ちゃん・・・勝手に話しちゃって。布津を見てたらつい・・・」

「ううん、結も言おうと思ってたことだから」


休み時間に瑞穂は深江にすごく申し訳なさそうに頭を下げた。


「言いづらいとこもあったからね・・・むしろ言ってもらえてちょっと楽になったかも」

「結ちゃん・・・」

「ねえ、晴ちゃん。布津君怒ってた?」


瑞穂は勢いよく首を振る。


「布津君優しいもんね」


深江の笑顔に瑞穂が何やら言いたそうな表情をしたが、すぐにチャイムが鳴ったため席を離れた。





昼休みはいつものように4人でご飯を食べる。
休み時間に話すには時間が足りない。
放課後は布津が遅くまで部活がある。


『後で話をしよう』と布津は言ったが約束をしなかった上に、なかなか話し掛けられなかったので結局どうすればいいのかわからないまま深江はぼーっと校舎の隅で布津を待った。


部活の休み時間になるといつものようにドヤドヤと汗をかいたバスケ部が外に出てくる。


この間告白を受けて断ったばかりの先輩と目が合い、お互いぎこちなく軽く会釈した。
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