有明先生と瑞穂さん
「深江にそういう罪悪感がなければちょっと怒ってたかもな」

「・・・・・・」


「なあ深江。昨日久々に友達に会えて、嬉しかったか?」


「!」


やはり怒って当て付けで言っているのかと思ったが、布津の顔を見れば純粋に気になって聞いているのだとわかる。

深江は素直に頷いた。


「よかったな。その友達も、会えて嬉しかったと思うよ」

「うん・・・亮も喜んでた」


深江の答えに布津は優しく笑う。




「俺が今日話したかったのって、怒ってるとか怒ってないとかそういう話じゃないんだ」

「・・・・・・?」


「俺、何だかんだ言いながらお前がいてくれたお陰であんまりヘコまずに済んだと思うんだ。
深江の行動に困惑することもあったから、瑞穂のことばっかり考えることもなかったっつうの?」


冗談っぽく笑いながら続ける。


「で、深江は俺に親友とのやり直しを求めてた。
結局お互い助け合ってたと思わねえ?」


深江は黙ってうつむく。

――そんなのは結果論だ。




「やめてよ・・・。
そんな優しい言葉、責められるよりキツイ・・・」


辛そうにうつむく深江を見て、布津はポンポンと優しく深江の頭を撫でる。



「違うつってんだろ?まあ最後まで聞けよ」

「・・・・・・」


深江の頭から手を離すと少しだけ距離を取った。


数秒の沈黙――。





「・・・昨日あの男に会えて、お前は親友を無くしたわけじゃないってわかっただろ?


だったらもう、俺のお役御免ってことだ」



「・・・・・・!」
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