有明先生と瑞穂さん
亮との関係が変わらないものだとわかった時、『親友の代替』としての布津の存在は必要なくなった。

だから、

もう一緒にいる必要はない。


付きまとっていたのは深江だ。


それをやめるだけ。


また4人で仲良く遊ぶだけ。



関係は何も変わらない。


付き合っていたわけではない。

特別な仲だったわけではない。




「そう・・・だね・・・」



ぽつりと返事をする。
それが一杯一杯だった。



自分勝手だとわかっていながら本当に悪いことに全く気付いていなかった。

布津がうぬぼれてしまうことではない。

それがなかったとしても布津を傷つけた。



「俺も、いつまでも深江に頼るわけにもいかないしさ」


泣きそうになる深江の顔に気付いている布津は目をそらして続ける。


「瑞穂を・・・いつまでも引きずってるのはよくないと・・・思う」


だんだんと布津の言葉まで弱々しくなる。



「お互い『そういう関係』じゃないのに・・・一緒にいるのって・・・・・・」


「・・・・・・」

「・・・・・・・・・」



とうとう、黙り込んでしまった。



歩く速度もだんだんと弱まる。


とうとうその足はその場に立ち止まってしまった。


(ごめん。ごめんね、布津君。ごめん・・・)



『友達』を利用したんだ。



数歩前にいる深江は布津に顔が見えないようになってようやく涙をこぼす。
肩の震えでわからないように息をとめた。




「・・・・・・って、思ってたんだけどさ・・・」


後ろの布津がかすれそうな声で言った。
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