有明先生と瑞穂さん
深い意味はなく、本当に楽しかったから自然とそう言葉が出た。
そんな軽い気持ちだったのに、有明は嬉しそうに笑って頷いた。



エレベーターのボタンを押して待っていると言いにくそうに有明が口を開く。


「・・・さっき」

「へ?」

「さっき加津佐から何を耳打ちされたの?」

「あ!」


よっぽど気になっていたらしい。

「先生・・・そんな人に言えないようなことしてたんですか?」


そう言うとハッとして、また顔が青くなった。


(やばい、本当に楽しい)


瑞穂は自分でも気づかないところで『魔性の女』になりつつあった。


「耳貸してください」

「?」


先ほど加津佐にされたように耳打ちをする。
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