有明先生と瑞穂さん
有明が聞くと二人は嫌そうな顔をして、何か考え事をするように頭を捻りだした。


「う~~~~ん・・・」

「うーんじゃなくて」


すると小浜が思いついたように顔をあげた。


「そうだ!有明先生のおうちに行ってみたいです!
・・・ダメですか?」


小浜はまた腕にしがみつき上目遣いで首をかしげた。


「ダメに決まってます」

それを有明はすっぱりと断る。

小浜はガクリと肩を落としたがここで口之津にスイッチが入った。


「俺も有明先生のウチに行ってみたいでーーす!!」

駅で「ハイハイハーイ!」と手を上げて大声で騒ぐ。

有明は慌てて周りの目を気にしながら口之津を静止した。


「駄目です!・・・あまり人を家に招くのは好きじゃないんです」

「いーいじゃないっスかぁあ!!それとも何スか?!
見られちゃヤバいモンでもあるんスか?!」

「そういうのじゃなくて・・・」

「私も行きたいですぅううーー!!」


有明にしがみつく口之津。
なぜか顔を抑えて泣き崩れるようにしゃがみこむ小浜。

ハタから見たらものすごい光景だ。



「~~~~~っ・・・

わかりました!!
わかりましたから!!
大人しくしてください!!」



―――しまった。




そう思ったときにはすでに遅く、口之津と小浜は顔を見合わせて喜んだ。


「ッキャーー!!」
「よっしゃーー!!」

「いいから静かに・・・ああもう・・・」



はしゃぐ二人を置いて重い足取りで同じ切符を3枚買いに行く有明だった。
< 1,053 / 1,252 >

この作品をシェア

pagetop