有明先生と瑞穂さん
「しっかり歩いてください」

「う~ん・・・」

「口之津先生は置いて行きましょうよ、有明先生ぇ~」

「そういうわけには・・・」


車内で眠りこけていた口之津をひきずり、もう片方の腕には相変わらずしがみつきっぱなしの小浜を連れて家に向かう。

家には何もないので途中でコンビニに寄り買った飲み物やつまみも持っているため重い。


「チッ、あのコンビニのアルコール、シケたモンしかねーな」

「コンビニだから仕方ないですよ。
それより口之津先生、顔色悪いですけど大丈夫ですか?
もう呑めないんじゃ・・・」

「そうですよー。カクテルって呑みやすい分結構効くんだからぁ~」

「だぁいじょうぶっス!任せてください!!」

「何を?」



そんなやり取りをしながらフラフラした足取りを二人を引きずり、ようやくマンションが見えるところまでついた。


「あそこです。あと少しですから」

「有明先生、素敵なところに住んでるんですね」

「いや、普通ですけど・・・」


小浜は有明が何をやってもよく見えてしまうようだ。


「私の家もこのあたりなんです~。有明先生近かったんですね・・・ふふっ、嬉しい」

「・・・・・・」


小浜の言葉に、本当に連れて来てしまってよかったのかと不安がよぎる。


(押しかけることはないだろうけど・・・)


どういうつもりなのかは知らないが、小浜にとって『彼女がいる』ということはあまり効果がない。
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