有明先生と瑞穂さん
「小浜先生腕を離してください。それと住宅地ですからもう少し声を抑えて」

「あっ、ごめんなさぁい・・・ふふっ」


笑い上戸なのかえらく上機嫌だ。
しかし謝りながらも腕は離さない。
そういえば歓迎会の時もこういう感じだったと思い出す。



「口之津先生、ここで待ってますから具合よくなるまでじっとしてていいですからね」


「・・・・・・」


聞こえているのかいないのか。

口之津の方から視線を戻すと、小浜がまたじっと有明を見上げた。


「小浜先生、本当に腕を・・・」

「有明先生、私今日すごく嬉しいんです」

「え・・・?」


「恋人ができたとお聞きしたときはすごく驚いたんですけど・・・
それでも私諦められなくて・・・・・・」


「・・・・・・」


有明は黙り込む。



(もっと突き放すべきだったかな・・・)


やはり連れてこなければよかったと後悔する。


――本当は、口之津や小浜に慕われたことが少しだけ嬉しかったのかもしれない。
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