有明先生と瑞穂さん
 ポーン



その時エレベーターが到着して扉が開き、目の前にまぶしく明かりが照らされた。


「・・・行こうか」


有明は何事もなかったように顔を上げてエレベーターに乗り込む。


「・・・・・・っ!!!!」


自分の顔がみるみる熱くなるのがわかる。

瑞穂はそれを知られたくなくて下を向いた。

有明もそっぽを向いて顔を見せない。

エレベーターの中は異様な空気になった。


静まり返ってはいたが瑞穂は自分の心臓がうるさくてしょうがなかった。


(バクバクバクバクうるさーい!)


今、彼はどんな顔をしてるのだろうか。
今ここはそもそも何階なんだろうか。
すごく長く感じるけど今どれだけ時間がたったんだろうか。


(い、今・・・先生、キ・キ・キ・・・チューしようとしたよね・・・?)


『キス』だなんて単語を脳内で言葉にすることすら恥ずかしく思えた。
< 106 / 1,252 >

この作品をシェア

pagetop