有明先生と瑞穂さん
「ハァ・・・」


有明と電話が終わり、瑞穂はボスッと布団に頭を突っ込む。


頭が痛いのは本当だ。
でも我慢できないほどではない。

自分の気持ちがこういう状態で会いたくなかった――。



(お風呂で体あっためよ・・・)


もう一度重たい頭を持ち上げ、ズルズル引きずるように部屋を出た。






***



「では一旦昼休憩ー!!」

「あざぁーしたぁー!!」


学校の体育館では布津が部活に励んでいた。

昨夜は遅かったため少し体がだるい。
ようやく昼休みにドッと全身の力が抜けた。


「ああー・・・マジだりぃー・・・」

「今日キレ悪ィなー布津」

「マジ~?」


同じバスケ部の友人が布津の肩をバシバシと叩いた。


「おっ?あれ、お前の仲いいやつじゃね?」

「は?」


友達の指差す先は体育館の出入り口。

そこには控えめにコソコソと中を覗き見る怪しげな人物がいた。




「・・・・・・何やってんだ瑞穂」


「うっ・・・」

「『うっ』じゃねえよ・・・」



布津は呆れてため息をついた。


部室のまわりで友達と取ろうと思っていた昼食だが、人気のない中庭を選んで二人で腰を下ろす。



「お前今日デートだったんじゃなかったっけ?」

「・・・・・・」


瑞穂は下を向いたまま答えない。


(大体わかるけどな)


――空元気は今日まで持たなかったか・・・。
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