有明先生と瑞穂さん
「理由は関係ないだろ。
誰だって嫌だよ。
お前は理由があれば小浜と有明がキスしてても許すのか?」

「・・・・・・っ」


言葉を詰まらせたかと思うと突然瑞穂はボロボロ泣き出す。


「な、泣くなよぉ~~」

「なんか想像したら・・・ごめ・・・」


必死に涙をぬぐう瑞穂を見て布津は思う。


――想像だけで泣いてしまうくらい、有明のことが好きなんだ・・・。



(まったく・・・見せ付けられる俺の気にもなってみろっての)


そう思いながらも、本当は自分のところに弱音を吐きにきてくれたことが嬉しい。



「あー・・・そっかあ・・・。
なんかモヤモヤしてたのが晴れた気分。ありがと・・・」

「・・・あの場に俺もいてよかったよ。
もし話だけ聞いてたら俺間違いなく有明ぶん殴りに行ってた」

「あの場で行かなかっただけ偉いよ」

「行ったら別の意味で小浜に勘違いされるだろ」

「ははっ、確かにそうだね」


ようやく笑いがこぼれて布津も安心する。


それを見て布津も笑うと、「さてと」と立ち上がった。



「そろそろ部活が始まるけど、どうする?
なんならサボってやりますよ、お姫様」

「んーん、いい。部活頑張って。
私は・・・帰るよ」

「ん、それがいい」


ニカッと笑えば瑞穂も同じようにニカッと笑った。





ごみを片付けて先を歩けば、後ろから小さな声で

「ありがと、布津」

と聞こえた。
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