有明先生と瑞穂さん
日曜日、有明は瑞穂に今日なら会えるかとメールを送ったが、まだ具合が悪いからと断られた。

ようやく有明も、瑞穂がまだ小浜とのことを気にしているのではと薄々感づく。


それでも瑞穂の態度が変わらないままなので、直接会わずにそれ以上問い詰めることもできないまま月曜日になってしまった。


瑞穂のクラスの授業でこっそり確認するが瑞穂の態度は普段どおりでわからない。

授業中には意図的に目を合わせないようにしているため、瑞穂と目が合うこともない。


だんだんと有明も不安に駆られた。


(避けられているわけじゃないけど・・・)


瑞穂との距離を感じる。


職員室に戻る廊下の途中でクシャッと髪を掻いた。




「先生」

「!」


ふいに後ろから声をかけられ振り返ると、険しい顔をした布津が立っていた。


「布津君・・・」


(そうか。瑞穂さんのことばかり考えていたから忘れてたけど、あの時彼もいたんだよな・・・。
彼からしてもあの時のことは腹が立つ・・・・・・)



「少しだけ、話大丈夫?」



言われて近くの人気のない廊下の踊り場に行くと、布津が話す前に有明は切り出した。


「この前はあんなことがあってごめん・・・。でも俺は――」

「わかってるって。
あんまいい気はしないのは事実だけど・・・先生、そういうことする人じゃないのは知ってる」


瑞穂と同じことを言う。姿がダブッた。

この二人は本当に似ている――。



「有明先生と瑞穂ってそういうとこ似てるよな」

「え・・・?君と瑞穂さんじゃなくて・・・?」

「は?なんで俺?」



思わず考えていることを布津が言うものだから、驚いて有明は聞き返した。



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