有明先生と瑞穂さん
瑞穂の反応に有明が楽しそうに笑う。

なんて意地悪なことを、と体を引き離そうとするがまわした腕に力を入れられそのまままた顔の距離がぐっと縮まった。



「他には・・・?」

「・・・・・・っ」


さっきは言えたけどこんなことをされると余計恥ずかしくて言えない。

――『キスしてください』なんて。


目をそらすと有明はふっと笑って唇を近づけた。

それに『からかうのをやめてくれたか』とほっとして瑞穂も目を閉じ顔を近づける。


――が、すぐに有明の親指が瑞穂の唇に当てられ阻止されてしまった。


「!!」


驚いて目を開けば、更に意地悪そうな有明の顔。


客観的に見る自分の姿も滑稽で恥ずかしすぎて頭から湯気が沸きそうだ。



「・・・・・・・・・他には?」

「・・・・・・んぅ」



真っ赤な瑞穂に有明は肩を震わせて笑う。



(アレー・・・。コレおかしいよね。
『お詫び』とか言ってたくせによく考えたらこれ形勢逆転してるよね?)



そう気づいた瑞穂は少し腹が立ってきて、有明の手を払いのけてそっぽを向いた。


「もういいです・・・」



しかし瑞穂がそういう態度を取っても焦ることなく有明はもう一度瑞穂の顔を引き寄せた。

無理に引き寄せるものだから頬が持ち上がっておもしろい顔になっている。


「なんれふか」

「嫌なら無理強いしたくないし、仕方ないけど・・・」


わざとらしい言い方を・・・。




「でも言ってほしかったからつい意地悪しちゃった。ごめんね」

「・・・うっ」



・・・・・・・・・本当にズルイ。





「っ・・・・・・き、きす してほしい・・・です・・・」


たどたどしく言う言葉に有明が満足そうに笑った。
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