有明先生と瑞穂さん
すごく自然に瑞穂の体を倒すものだから抵抗する間もなく有明の下に組み敷かれてしまった。



「ちょ、ちょっと有明先生!
だ、だめです、私そんなまだ心の準備とかなんかよくわからないけどいろんな準備とかが!」


必死で言い訳をしながら手を広げてガードするその指に有明は自分の指を絡ませながら優しく笑った。



「大丈夫。まだキスしかしないから」


「・・・・・・っ」



そう言われて瑞穂は一瞬よぎった自分の考えに驚く。



(あれ・・・?私今ちょっと残念だって思わなかった?)


――これじゃあエロは自分ではないか。



瑞穂の返事を聞く前にもう一度唇同士が触れ合う。


それに答えて目を閉じると、有明は絡ませたままの手をさらに強くぎゅっと握った。


キスは唇だけでなく時折瑞穂の頬や目、耳にも落とされ、そのたびに背筋をぞくぞくさせる。


「・・・・・・っ」




(口が塞がれてる時はいいけど・・・
なんかくすぐったくて変な声出そう)


こんな空気で妙な声を出して笑われるのも恥ずかしいので息を止めて必死で堪えると、酸欠で頭がぼぅっとする。


そして唇を塞がれるたびに少し安心して力が抜けるのだった。



・・・しかし安心したのもつかの間、瑞穂の唇に有明の唇とは違う『何か』が這い、また全身がこわばる。



「・・・・・・んぅぁっ?!」


驚くあまりせっかく堪えていた声は、自分でも驚くほど変な音となり口から漏れてしまった。



(えっ?!い、今のって・・・)


唇を離した有明の顔がふっと笑う。
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